ゴロ  ゴロ   ゴロ・・・。



イヤに重苦しい音が、一人ぼっちの部屋に響く。


でもお生憎サマ。

別に俺は、カミナリの発する擬音がキライなワケでも、ましてや怖いワケでも全然ないんだよね。

好きなパソコンをいじりながらの分ではたいして聞こえないし、むしろディスプレイに集中しすぎちゃってて気にもならない。




だけど・・・。



ホントはそうもいかなくて。

カミナリの音がだんだんと近づいてくるにつれ、ソレは嘘になってしまう。









部屋の片隅に、隠れるようにして俺は居た。

ゴロゴロという音が唸るたびに震える肩を、押さえつける様にして、膝を抱えて。


いや・・・ていうかさ。
カミナリが怖いなんていったら、ヤンクミになら可愛いとか言われそうだけど。
別に、音とか、おヘソとられるとか、頭のテッペンに落ちてくるのが怖いわけじゃない。



怖いのは・・・




光ること。







たくさんの雲で

          にごってると思ってた


漆黒の空が

      案外と


薄紫に

           透き通っちゃってて、


時々

                     夜の空が


青白く






        光る。






そんな、普段起こりえない様なコトが起こっちゃうのが、俺は一番嫌いで、


一番怖いの。





だから、俺なんかがあの3Gの仲間でいるってコトも、起こり得ないコトみたいな気がするから。



ホントは怖いんだ。

















俺がみんなの仲間になったのは、実は3年になってからだった。
2年までは普通に暴れてた・・とかはしてなかったけど、イイ子チャンぶったりもしてなかった。

いわゆる、自称フツウの子。

でも、実際問題その頃の俺ってかなりセンセイ等に毒づいてたから、結局このクラスに入れられたわけね。

一歩教室に入って、クラスの生徒見回した瞬間に思った。
「あーぁ、俺このクラスで、卒業式まで無事生きてられっかなぁ」
俺ケンカキライだし、てゆーか弱いし、できないし。絶対に最初に苛められるタイプっしょ。





「あ、来たぜ」


「ヨロシクー」


「お前、野田?だよな」


ぅげぇ・・・早速かよ。つかなんで名前知ってんの。キミら。


「ぇーと、ウン俺は野田猛っていーます。ヨロシク」


とりあえず、いつもの愛想笑い。顔は笑ってるけどホントはめちゃくちゃ怖がってるって。
すると、掛けられた声は予想してたのとは全然違った。


「よろしくなー野田!コレで全員揃ったみてぇだし」


ふと、俺の前に影が出来る。影に入れられたら普通、視界は暗くなるハズなのに。
その逆で、一段とぱぁっと明るくなった。


「俺はー」


覆いかぶさってきた影の持ち主が話しかけてくる。顔よりも先に見えたのは眩しい金髪。


「俺は内山。あっちが慎と南。で、そこでパン食ってるのがクマ。よろしくな」


「よ・・・よろしく!!」


「ぁ!ウッチー抜け駆けかよー」


「ずるいぞコンニャロウ!」


もう楽しそうにじゃれあってる。
仲良いクラスだなぁとか思ってみたりもしたけど、皆が笑顔で迎えてくれたのはホント嬉しかった。
でも先入観で人を品定めして、判断して。俺ってそこらの大人と変わんないことしてたじゃんか。
最悪だ。

皆はこんなにイイ人なのに。






それからは皆とワイワイ楽しんで、遊んでふざけあって、ってしてたケド。感じた劣等感と自己嫌悪を必死に隠そうとしながら。

でもあるでしょ?昔の話で盛り上がるコトって。
そんなトキはよく、2年間のスキマは埋めれないんじゃないかなぁって。いつの間にかそう考えるようになっていた。














腹部に響く、不快な重低音。
それによって意識が引き戻された。




何でだろ・・・?
ダメだ、マジで怖い。









ふと、顔を上げると同時に、空に静けさが戻った気がした。
そして、不意に音はピタリと止んだ。




「え・・・何」












ガシャーーーーン!!!





「・・・・!!!」





瞬間、何があったのか分からなかった。

ガラスを割るよりも大きい、耳を突く様な音が部屋中に響く。

と、同時に俺はそこから逃げる様に、いつからか降り出した雨の中に飛び出していた。















































あーぁ、いまどき恥ずかしいや。
カミナリにビックリして飛び出してきちゃうなんて。








いたのは、何故かウッチーの家の近くの公園。

ツイこないだココでウッチーと遊んだりしたから覚えてたけど、でも何でまたココに来ちゃったのかは自分でもよく分からなかった。
何となくウッチィに会いたくなって。でもやっぱり会いたくなくて、怖くて。
けど、今いろいろ考えてるウチにどうでも良くなった。


その公園のすみっちょの小さい・・まぁ子供にしちゃぁ大きいんだけど、まぁそんな大きい遊具に身を潜ませる。
昔はコレがスゲェでっかく見えたんだっけ。



「あはは・・・何だか懐かしいや」




会いたい。
ただ、会いたい。
でも、やっぱり怖い。会いたくない。







そう行って暫く、瞳を閉じる。________・・・もう開けることはないだろう。



っていうかアケタクナイ。








ポツリ、ポツリと落ちだした、空からの涙。
俺の瞼におちて流れたソレは、空が流したのか、それとも自身が流したのかさえ、もう分からない。










冷たい



雨。



芯から冷やして




くれちゃうワケ?






















「何してんの?」

















声が聞こえた。
もう永遠に開けまいと、そう思ってた瞼をどけさせる、その声。




俺を起こそうとしてんのは誰?


誰ヨ?





何回も


何回も


何回も。







そう何回も名前呼ばなくたって分かるよぉ。










「うっちぃ・・・」








「おぅ、のーだ。」








名前を呼べば、にっと笑って返してくれたまぶしい太陽の色。
傘を差して目の前に立つウッチーの優しい笑顔が、再び戻ることの出来た視界に一番最初に映った。





「やーっと目ェ開けたなぁ」



「えー。俺そんなしつこく目瞑ってなかったょ」



「嘘つけ。だって俺、大分お前の名前呼んでたし?」



「うそダー」



「嘘じゃねーょ」





笑いながらそういって、ウッチーの少し俺よりも大きめな手が、優しく俺の髪を撫でてくれた。





「・・・えと、ゴメン」




「いや、謝んなって。」







ポンっと叩いた後、まだ頭に置かれてた手でガシガシと乱暴に俺の髪をいじる。それでもウッチーは、何で俺がこんなトコでしょぼくれてたのかは聞いたりしない。

そんなウッチーの優しさに改めて感謝した。きっと聞かれてたらきっと説明に困ってただろうし、泣きだしてたかも知れない。





「可笑しいかもしんねぇけど、つい俺もうお前が目開けないツモリじゃねぇかって思っちまってさ。
でも・・・
最初にお前が見てくれたのが、俺でよかった。」





「・・・・・ウン。」



何ソレー・・・。あーぁ、なんかまた涙でそ。






「うっちぃ・・・マジで怖かったぁ・・・」




「へぇー野田、雷怖かったっけ?」




「うーん・・・まぁ、ウン。そぉょ。すっごく怖かった」




「そ。まぁ何にせよだ。
お前気にしてるみたいだけどさ、いつから友達になったとか そんなん関係なしでお前は3Dの仲間だぜ?」



「・・・!!」







あらら。ウッチーには皆お見通しだ。
俺は気にしてるそぶりを見せない様に頑張ってたのに、ムダだったわけね。
普段はムカつくくらい鈍感なクセに、妙なところで感がおよろしい。








「ウン!!」







まぁ、ソコも好きになった理由なんだけどね。


















「さぁて・・・よし帰っぞ野田ァ!!」



「ぉぅょ内山隊長!!」











いつの間にか、空はスッカリ晴れ模様。
水溜りには、高く上った、銀色に輝く月。









さぁ起き上がろう。
皆と一緒なら、もぅ一回瞳を開けるってのも悪くないじゃない。





さぁ帰ろう。
君と一緒なら、全然怖くなんかないよ。





ありがとう。
































え、後書きした方がいいですか・・?(ぇ)
ぇ。あえてノンコメントがヨカタなぁ(汗)ぇぇ、勢いだけでウチノダ書いちゃいました。
ごくせんキャラは絵描きにくいので、小説多めになると思うんですけど、でも拙刃は小説読むのは好きだけど書くのは嫌いなので更新一番遅いジャンルかと思われ・・・
野田クンは笑顔が可愛いコなんです。ナリだからとかじゃなくて純粋に。
ウチでは、彼は3年からの不良組さん(設定)。皆は最初っからの付き合いの仲良しさんなので、最初仲間に入れるのかなぁ、とかむしろ生きていけるのか!?俺!!とか考えてました。(さらに設定)
3D(だったはず/ぇ)の皆は心から仲良いツモリだったケド、野田クンはやっぱり3年からの友達なので、表面上の付き合いじゃないかと心配したり、健気なんです。(黙れ)
そこでウッチー登場。実は野田を気にかけてたウッチーが彼の心を理解。とそんな感じのストーリーだったはず。(ぇ)
まぁ要はウチノダなんです(ぇまとまってねぇ)